返済できないと分かっていて借り入れをした場合

今日は、”返済見込みのない借入れ”と免責との関係について考えてみたいと思います。


Q. クレジットカード会社からの借り入れが増えてしまい、自分の収入から返済できなくなってしまいました。しかし、そのことを黙って更にクレジットカードで買い物をしてしまいました。相手をだますつもりはなかったのですが、私が破産手続きを取ったら、免責を受けることはできるでしょうか?

 

A. 借金などの債務について法律上の支払義務を免れることを「免責」といいます。裁判所が免責を不許可とすることのできる事由(免責不許可事由)の1つに「詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」があります。
免責不許可事由としての「詐術」とは、積極的にだます行為をした場合や、これと同視すべき場合をいうと解されています。したがって、借金を返済することができない状態であることを相手方に積極的に知らせなかったというだけでは、ただちに免責不許可事由にはあたるとまでは言えない可能性があります。
仮に免責不許可事由がある場合でも、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯、債務者の年齢・職業・生活状況、債権者の意見、破産手続への協力状況などその他一切の事情を考慮して、免責許可決定をすることができます。
「免責許可決定」を受けるためには債務者の状況を的確に裁判所に伝えることが重要となります。

 

 

1.「免責不許可事由」とは
 借金などの債務について法律上の支払義務を免れることを「免責」といいます。
 法律には、裁判所が免責を不許可とすることができる事由(免責不許可事由)として、11項目が定められています。
 免責不許可事由の1つに、「詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと」があります。

 

2.「免責不許可事由」としての「詐術」
(1)「詐術」が問題となる期間
 「信用取引により財産を取得したこと」の典型例は、クレジットカードによる買い物です。
 「信用取引により財産を取得したこと」は、「破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間」に、行われたことが必要です。 

(2)「詐術」とは
 破産手続開始の原因となる事実、つまり債務者が「支払不能」(がんばっても借金を返済することができない状態)にあることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため「詐術」を用いることが必要です。
 免責不許可事由としての「詐術」とは、積極的にだます行為をした場合や、これと同視すべき場合をいうと解されています。例えば、新たにローンを組む際に借入れ金額を偽る場合などがあります。
 したがって、借金を返済することができない状態であることを黙ったまま、相手方に積極的に知らせなかったというだけでは、免責不許可事由には当たらないといえます。

 

3.「免責許可」への対応
 裁判所は、免責不許可事由がある場合でも、破産手続開始の決定に至った経緯のほか、債務者の年齢・職業・生活状況、債権者の意見、破産手続への協力状況などその他一切の事情を考慮して、「免責許可決定」をすることができます。例えば、できる限り債権者に対する債務の弁済に向けて努力していたり、生活態度を反省していたりすることなども考慮の対象となります。

 

 免責を受けるためには、状況を的確に裁判所に伝えることが重要となりますので、まずは弁護士にご相談ください。

 

こちら(「免責とは」)もご覧ください。