こんにちは、弁護士の奥田です。
今日は、個人の方が、借金が多くて自己破産をする、という場合に問題となる「財産」についてご説明をしたいと思います。
自己破産というのは簡単に言うと、その人が持っている財産を全部投げ出してお金に換えて、これを債権者に分配(配当)する、という手続きになります。当然、配当しても債権の額には足りないわけですが、足りない部分については”免責”といって、借金がチャラになるという手続きになります。
持っている財産を投げ出せ、ということになりますが、ここで言う「持っている財産」とは、基本的にはある程度の価値のある財産のことを言います。
従って、例えば普通のお宅にあるような家財道具や冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど、そのようなものまで取られるということではありません。
ここで言う「持っている財産」というのは、ある程度の価値のある財産のことですから、典型的には不動産などのような財産のことをいいます。
よく個人の自己破産の場合に問題となる財産としては、次のようなものがあります。
まず保険の解約返戻金というのがあります。
生命保険などに入っておられる方は多いと思いますが、生命保険などに入っていて、今死んだら、とか、今怪我をしたら~~~円もらえる、といったものは財産ではありません。
そうではなくて、積立型のような保険契約の場合に、今契約をやめたら(解約したら)~~~円戻ってきますよ、というような契約の場合があります。
これを保険の「解約返戻金」と言いますが、例えば、今この保険を解約したら100万円戻ってきますという場合には、その100万円は破産する人が持っている財産だということになり、これは取り上げられて、配当に回されてしまう、原則的にはそういうことになります。
次に退職金があります。
退職金も、”まだ退職してない、今まだ現役でバリバリ働いてます”という人の場合であっても、仮にその人が今、自己都合で仕事を辞めた場合、退職金が~~~円出ますよ、という「退職金見込額」がある場合には、通常その8分の1がその人の持っている財産であるとみなされて、その分(退職金見込額の8分の1)は破産財団として配当に回される、ということになります。
ですので、例えば今会社を辞めると800万円退職金が入ってきますよ、という場合には、実際に会社を辞める必要はありませんが、800万円の8分の1である100万円はその人が持っているとみなされて、100万円についてはどうにか工面して、裁判所(破産管財人)に差し出しなさい、ということになります。
最後に相続財産というのもあります。
これは、例えばお父様がお亡くなりになって、その相続人であるご兄弟の間でどう財産分けをするか話し合いをしている途中でした、というような場合にはすぐに気付くものなのですが、そうではなく、随分前に実家のお父様が亡くなって、亡くなったお父様は田舎に自宅の土地建物を持っていたが、そこには今(例えば)お兄さんが住んでます、しかし不動産の名義は亡くなったお父さんの名義のままにしてます、といったような場合には、これは法律上、その田舎の土地建物については、法定相続人が法定相続分に応じて持っている(共有持分を持ってる)ということになります。
ですので、このような場合には、その持分については取られてしまうということになります。
ですから、お父様がもう亡くなっていて、土地建物を持っていたというような場合には、相続・権利関係をきちんと確認し、その上で破産手続きを進めていくことが望ましいと思います。
今日は、個人の自己破産の場合によく問題となる財産についてご説明をしました。
最終更新日:2019/02/04