自己破産で差押えられない財産

Q. 生活のために消費者金融などからの借入れが増えてしまい、自己破産を考えています。財産としては住宅があるのですが、自己破産すると家の中の物すべてが差し押さえられてしまうのでしょうか?

 

A. 債務者の健康で文化的な最低限の生活を保障するため、差押えをすることができない財産を「差押禁止財産」といいます。差押禁止財産とされる物は自己破産をしても差押えがされません。
 自己破産をすると、住宅などの不動産は差し押さえられてしまいます。しかし、ベッド、洋服タンス、食器具などの家財道具や99万円までの現金は差押えの対象とはなりません。
そして、裁判所の「破産手続開始決定」があった後に得た財産は、すべて債務者の財産となり、差し押さえられることはありません。
 自己破産をすると、裁判所から人が押しかけてきてタンスやテレビなど家中の物を差し押さえられてしまうと思っている方がいらっしゃるようです。しかし、これは誤解で、当面は通常の生活をこれまでどおり維持できるのです。
早く確実に借金を減らして人生の再出発をするためにも、自己破産について不安がありましたら、お早めに弁護士にご相談ください。

 

 

1.「差押禁止財産」とは
 債務者の健康で文化的な最低限の生活を保障するため、差押えをすることができない財産を「差押禁止財産」といいます。
  自己破産は、債務者による弁済を禁止して全ての債権者に平等に債務者の財産を分配することが原則ですから、住宅などの不動産は裁判所により差し押さえられてしまいます。しかし、差押禁止財産とされる物は自己破産をしても、差押えがされません。

 

2.差押禁止財産の具体例
(1)家財道具
 生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具などは差押禁止財産とされています。例えば、ベッド、洋服タンス、食器棚、食器具などは差し押さえることはできません。テレビ、ビデオデッキ、パソコン、冷蔵庫などは、1台のみが差押禁止財産となりますので、2台以上あると差し押さえられる可能性があります。
(2)現金
 自己破産の場合、99万円までの現金は、差押えの対象とはなりません。これは、標準的な世帯の2か月間の必要生計費を勘案して定められる額とされる66万円の1.5倍にあたる金額です。
(3)その他
 農業・漁業その他の主として自己の知的・肉体的な労働業務に欠くことができない器具などは、差押えの対象とはなりません。ただし、お店を経営している場合、商品は差押えの対象となります。

 

3.自己破産と差押えの実情
 差押えの対象となる物は、自己破産をした人の物に限られますので、家族名義の自動車等は差押えの対象とはなりません。また、裁判所の破産手続開始決定があった後に得た財産は、すべて債務者の財産となり、差し押さえられることはありません。
 自己破産をすると、裁判所から人が押しかけてきてタンスやテレビなど家中の物を差し押さえられてしまうと思っている方がいらっしゃるようです。しかし、これは誤解で、通常は、債務者に差押えをしてお金に換えるだけの財産がないので、差押えのために裁判所から人がやってくることはありません。仮に住宅などの不動産がある場合には差し押さえられてしまいますが、当面は通常の生活をこれまでどおり維持できるのです。


 自己破産は、債務者の経済的更生のための制度で、債務者の財産を奪っていくものではありません。早く確実に借金を減らして人生の再出発をするためにも、自己破産について不安がありましたら、お早めに当事務所にご相談ください。