1 はじめに
今回は、人知れず抱えている方が多い「リボ払い」についてお話ししたいと思います。
毎日一生懸命働いて、毎月欠かさず支払っているのに、なぜか利用残高が減っていかない。そんな感覚に陥っていませんか?
多重債務で法律相談に来られる方のほとんどが、この「リボ払い」を利用しているように思います。
この動画では、リボ払いの仕組みをきちんと理解していただくこと、また今すでに負担を感じている場合にはどのような選択肢があるのかをご案内すること、この2点を目的に解説していきたいと思います。
2 リボ払いの仕組み:なぜ「完済」が見えないのか
まず、リボ払いの仕組みについて見ていきましょう。
リボ払いは、毎月の支払額が一定になる、という特徴があります。
たとえば、「毎月1万円ずつ」といった形でリボを設定し、高額な買い物ができたりするため、一見すると、支出の見通しが立てやすく、便利な仕組みに見えるかもしれません。
ただ、この毎月の支払いの中身は、大きく分けると
「利息(手数料)」と「元本」
に分かれているのです。
そして、リボ払いは、毎月の支払額が「利息」に優先して充てられる仕組みになっているため、「元本」がなかなか減らないという構造になっています。
さらに、この「利息」の利率は、多くの場合、年15%前後に設定されています。これは、利息制限法で認められている利率のほぼ上限で、非常に高い数字だと思ってください。
たとえば、リボを設定して50万円の残高がある場合、年間の手数料だけで7万5千円。月に直すと、毎月6,000円以上が利息になります。もし、毎月の支払額を1万円に設定していたら、元金に充てられるのはわずか3,000円ちょっと。これでは、完済までに10年以上かかる計算になります。
また、その時に組んだリボ払いとは別に、新たな利用が重なることもあるでしょうから、結果として残高が減らない、あるいは増え、膨らんでいく、という状態になるわけです。
リボを抱えている方が「毎月きちんと返しているのに、減らない」と感じるのは、決して珍しいものではなく、また個人の問題でもありません。リボ払いの仕組み上、そうなっているんです。
3 状況の見直しを
ここまでお話ししてきたとおり、リボ払いは、その仕組み上、利用者に負担が大きくなりやすい構造になっています。
ここでお伝えしたいのは、
・これからリボ払いを利用されようとする方には、上記の仕組みをよく理解した上で判断してもらいたいこと
・そして、既にリボ払いを利用している方には、適切なタイミング(元本が減っている実感がない/支払いを負担に感じ始めた/全体の借入額が把握しづらくなってきた、など)で状況を見直し、きちんとした見通しを立ててもらいたいこと
です。一度立ち止まって、ご自身の借入・返済状況を見直し、今後の見通しを描いてみてください。
4 返済の見通しが立たなくなった場合の選択肢(3つ)
そうして状況を見直し、返済の見通しが立たないと判断した場合は、次の3つの手続を検討されてください。
⑴ 任意整理
弁護士が各債権者(カード会社等)と個別に交渉し、場合によっては将来の利息をカットしたうえで、分割返済のスケジュールを見直す方法です。
これを行うと、交渉・合意後に支払われるお金が、原則として全て元金の返済に充てられるようになるため、それだけでも完済までのスピードが早まることになります。
⑵ 個人再生
裁判所の手続を通じて、借金の元本自体も一定程度(債務の額にもよりますが、たとえば5分の1程度まで)減額した上で、分割返済を行う方法です。
借金の額が膨らみすぎて、元本すら返すのが難しい。一方、たとえば持ち家があるため破産はしたくない、という方に有効です。
⑶ 自己破産
裁判所の手続を通じて、一定程度を超えた部分の資産を手放す代わりに、借金の支払義務そのものを免除してもらう方法です。
5 弁護士に相談を
リボ払いから抜け出す方法として、上記3つの手続的選択肢をご紹介しましたが、いずれにしても、1度弁護士に相談していただけたらよいかと思います。
弁護士が介入することで得られる大きなメリットとして、
①どの手続が自分に合っているか、理解・納得した上で選択できる
②特に裁判所の手続(⑵個人再生・⑶自己破産)を利用する場合、申立てに必要なサポートを受けられる
③弁護士が受任通知を送ることで、カード会社からの請求や督促、口座からの引き落としが一旦全て止まる
等が上げられます。特に大きいのは③だと思います。この「止まっている期間」に、これからの生活をどう立て直すか、私たちと一緒にじっくり話し合うことができる。夜、スマートフォンの通知に怯えずに眠れるようになる。それが、私たちが提供できる一番の価値だと思っています。
6 おわりに
以上、リボ払いの仕組みと債務整理の選択肢について解説しました。
繰り返しになりますが、リボ払いは、毎月の支払額が一定である反面、その仕組みによって負担が大きくなりやすい側面があります。
そして、もし負担が大きくなってしまった場合でも、法律上の手続によってこれらを整理する可能性が用意されています。
今回の解説が、リボ払いについて考えるきっかけや、ご自身の現在の状況や今後の選択肢を整理する一助になれば幸いです。
著者紹介
井上瑛子 弁護士
おくだ総合法律事務所
兵庫県立神戸高等学校卒
九州大学法学部卒
九州大学法科大学院修了
福岡県弁護士会所属
